本記事では地頭が良い人の特徴や仕事のやり方、地頭が悪い人との違いなどを紹介し、「地頭が良い人とは」という疑問に元外資コンサルが徹底解説していきます。

地頭が良い人とは

「地頭が良い人」に関する定義は様々ありますが、頭の中で情報と知識を加工する力が高い人のことだと言えます。

思考に関する名著である「思考・論理・分析」では、思考を以下のように定義しています。

地頭が良いとは
出所:「思考・論理・分析」

上記の図の中の「加工」を行う力が高い人こそが、地頭が良い人だと言えます。

この加工を行う力は、思考のベースとなる力であり、「情報」や「知識」のように後天的に大きく伸ばすことができないことから、「その人本来の頭の良さ」とも言われています。

地頭が良い人は、自身が持つ「知識」と、その時々で得られる「情報」を駆使して柔軟な思考ができるため、仕事での活躍シーンも多いです。

特にVUCA(※1)と呼ばれる現代において、日に日に「地頭」の重要性は増しています。

ちなみに、「地頭が良い人」と似た表現で、「頭が良い人」という表現がありますが、これは多くの場合「知識」量が多い人(クイズが得意な人や、学校のテストで高得点を取る人)を指す言葉であり、「地頭が良い人」とは異なる定義となります。

※1:Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguityの頭文字から成る造語で、未来の予測が困難な状況

地頭が良い人の特徴

具体的に地頭が良い人にはどのような特徴があるかを紹介していきます。

1. 理解力が高い

人は何かの「情報」を得ると、自身が持つ「知識」と付け合わせて”理解”を行います。

この”理解”こそが前述の「加工」に当てはまります。

そのため、地頭が良い人は、少しの説明で全体を把握できたり(1を聞いて10を知る)、複雑な説明でも自分の中で「加工」を行い、自分なりの枠組みを作って落とし込むなど、理解力が高いという特徴があります。

2. 一つの事象から多くのことを読み取れる

地頭が良い人は、一つの事象に対しても多角的な視点で考えられるという特徴があります。

メリット・デメリットの両面を考えるということや、様々な立場に立って考えるということを行うため、一つの事象から多くのことを読み取ることができます。

その結果、得られる「情報」が多くなり、地頭が悪い人とは異なる切り口や厚みのある情報に基づくアウトプットが出せるという特徴があります。

3. 応用力がある

地頭が良い人は過去の経験を抽象化して自分の中の方法論として落とし込んでいるので、応用力があります。

▼「抽象化」のイメージ

上記の例では、「相手の10番の右足を封じろ」という指示を、「10番」を「最も脅威となる選手」、「右足」を「利き足」に抽象化しています。

言われたこと、経験したことをそのまま「知識」にするのではなく、応用可能な形に抽象化した上で「知識」にしているので、経験したことがない事象に出会っても対応できるのです。

4. 未知のことでも必要な情報を集めて進められる

「応用力がある」と少し似ている特徴ではありますが、地頭が良い人は「情報がないから分からない」という思考スタンスを取りません。

仮に情報が少ない場合でも、「どんな情報があれば求めたい解を導き出せるか?」という思考を行うため、未知のことでも何らかの解を導き出すことができます。

会社として新規事業を始めるという時や、その人にとって新しい業務をお願いするという時でも、地頭が良い人であれば「分からない」「知らない」ではなく、必要な情報を集めて前に進めることができます。

5. 説明が分かりやすい

地頭が良いは説明が分かりやすいという特徴もあります。

伝えたいことをそのまま伝えるのではなく、文脈や相手の立場、知識レベルという情報をインプットとして、伝えたいことの「加工」を行うため、自ずと説明が分かりやすくなります。

地頭が良い人は、説明事項が専門性の高い内容であれば相手の知識レベルに合わせて噛み砕いたり、情報量が多ければ必要な情報に削ぎ落としたり、構造や時系列を整理するという「加工」作業を行うことができます。

地頭が悪い人の特徴

地頭が悪い人の特徴としては、以下があげられます。

実際に何か上司から仕事を振られた時のことをイメージして、以下が当てはまるかチェックしてみてください。

  • 仕事を依頼された時に「難しそう・・」と消極的に考えてしまう
  • 制限時間内に何らかのアウトプットを導き出せない
  • 前提条件を決められずあれこれ迷って立ち止まってしまう
  • 情報が少ないと悩んで立ち止まってしまう
  • はじめに浮かんがアイデアに飛びついてしまう
  • 効果があるものではなく簡単なものから考えてしまう

地頭が悪い人は「考える」癖がないため、未知の事象に遭遇すると「考える」ことを放棄してしまいます。

特に昨今は情報流通網が高度に発達したこともあり、「とりあえずググる」という癖がついてしまっている人はも多いかと思います。

しかし、これが地頭が悪い人の癖でもあるので注意する必要があります。

地頭が良い人の仕事のやり方

最後に地頭が良い人の仕事のやり方を一部ご紹介します。

1.相手の視点に立って考える

地頭が良い人の特徴として「多角的に物事を考えられる」ということを紹介しました。

地頭が良い人が仕事を行う上では、相手の立場に立って徹底的に考え抜きます。

  • 相手の立場、知識レベルなどを踏まえるとこの説明で分かりやすいか?
  • このアウトプットを見せた時に相手はどんな反応をするか?
  • この言い方で相手はどんな気持ちになるか?

などなどです。

また「相手の視点に立って考える」ということの証左として、地頭が良い人は”期待値を外さない”という特徴があります。

自分本位で仕事をせず、相手の視点に立って求められている仕事をするため、アウトプットを出した時に確実に”期待を超える”ことができるのです。

2. 失敗を抽象化して学びに昇華させる

地頭が良い人でも当然ながら仕事で失敗をします。

ですが、地頭が良い人は失敗をそのまま放置せず、失敗経験を抽象化して”学び”に昇華させます。

失敗をした時に、失敗の原因や背景、防ぐための方法をしっかりと言語化した上で、その”学び”を他の仕事で最大限活かすためにはどうすべきか考えながら仕事に取り組みます。

地頭が良い人の仕事のやり方

3. 常に先を予測する

地頭が良い人は「常に先を予測」して仕事に取り組みます。

  • 自分が関与しているプロジェクトでこの先どんなことが起きるのか?
  • 次の会議ではどんな議論が起こり、各者がどんな意見を言いそうか?
  • この資料を上司に見せたらどんなフィードバックがあるか?

もちろん予測の精度もありますが、予測の中で仕事ができると余計な仕事をする必要がなくなったり、周囲も安心して仕事を任せられるようになります。

逆に地頭が悪い人はこうした先の予測をせずに仕事を行うため、常に後手後手の対応になるので、余計な仕事が増えたり、周囲も常に「大丈夫かな?」という視点で評価されることになってしまいます。